So-net無料ブログ作成

娘よ ~最後のインドからの手紙~

このブログでも時おり記事にしてましたが、2005年から
支援団体を通じた教育里子という形で、インドのマリヤ
という女の子が学校に通えるようにと、毎月ささやかな
金額を援助しておりました。

そのマリヤがこの度、無事に大学を卒業し社会に出るに
あたって、支援の期間が終了したというお知らせが、
彼女が自分で書いた、12年間の支援に対する感謝の手紙
と共に今年の初夏に届きました。

もう何度も書いてるので、きっかけ等は割愛しますが
最初にご縁を持ってから12年も経ったのかと思うと
感慨もひとしおです。

奇しくも12年前といえば、次女が生まれた年であり、
また今年の春に引き払った、借家に引っ越してきた年
でもありました。
この12年間で、保育園児だった長女と長男はそれぞれ
高校生になり、生まれたばかりだった次女は中学1年生
になりました。
引っ越してきた年に支援を始め、去ってゆく年に支援が
終了する・・・偶然とはいえ何か胸にグッとくるものが
あります。

実際に海外に出て、困っている人たちの為に、現地で
尽くしている人たちに比べれば、月々僅かの金額で
偉そうに「支援」なんて言葉を使うのはおこがましい
ので、この記事はサラッと流して終わりにしますが、
スマトラ島沖地震による津波の影響で母親と家を失って
打ちひしがれた少女が、年々明るい表情になってゆき
美しい女性へと成長してゆく写真や、毎年のクリスマス
&ニューイヤーカード、学校での様子を伝えてくれる
手紙やイラストは私にとっても本当に希望でした。

皮肉なことに、努力と向上心で輝かしい未来を切り開き
無限の可能性で世の中に出てゆくマリヤとは対照的に
私の方はと言えば、この12年間で坂道を転げ落ちるかの
ような、お先真っ暗の文字通りの転落人生で、社会の
底辺で足掻きながら、ニャアコに慰められる日々では
ありますが、これからの彼女の人生が幸せに満ちたもの
でありますようにと祈らざるをえません。


まだ見ぬ、そしておそらくはこの先も会うことは
ないであろう異国の愛娘よ
まだ幼かった君が試練の中から努力で勝ち取った
笑顔と知性が、これからの長い人生の困難から
常に正しい道へと君を守り導いてくれますように
たまに辛い事があっても、いつも健康と幸せで
ありますように
日本という四季の美しい国からこれからも、いつも
君の幸せを祈っています

イロドリウサギ&ニャアコ



2016-01-31_10.06.35.jpg




nice!(11)  コメント(2) 

朝焼けの町、燃える空 [イロドリ写真館]

2017-11-05_14.48.22.jpg

秋から冬にかけて、早朝の空が妙に綺麗な気がします

2017-11-05_14.48.47.jpg

2017-11-05_14.49.49.jpg

「早起きは三文の得」という事で、朝早くから
仕事してる…というか、させられてるご褒美に
美しい朝焼けを三日連続で独り占めでした。

2017-11-05_14.50.55.jpg

↑ これは二日目

2017-11-05_14.51.19.jpg

↑ 三日目


(天気だけは)穏やかな日が続き、日中もイイ感じで
暖かな日々でしたが、昨日の雨で風の冷たさが完全に
冬モードに突入しましたね。
インフルエンザの予防接種も始まり、いよいよこれから
本格的に寒くなってくるのかと思うとユーウツです。
どうぞ皆様も心身ともに健康であられますように。


nice!(7)  コメント(0) 

誰もいない海 [ONE MORE NIGHT]

暑かった夏が過ぎ去り、すっかり人の気配がなくなった
浜辺を歩く一人と一匹

イロドリ
「今は、もう秋・・・」

ニャアコ
「誰も、いない海・・・か
 懐かしいわね、ビリーバンバンだったかしら」

「トワ・エ・モアだよ」

「それにしても、何か急に寒くなってきたわね。
 この間まであんなに暖かかったのに、最近は
 天気が良くても風が冷たいわ」

「俺も半袖の服じゃ寒くて外歩けないよ。
 まあ、もう11月だからなあ。
 ああ今年ももう終わりか、早えなあ・・・」

「まだ50日以上あるわよ」

「何だか季節や日にちや曜日の感覚が全くなくてなぁ」

「アナタ毎年おんなじコト言ってるわよねえ」

「うーん・・・どうも年々悲惨さがエスカレートしてる
 気がするんだが、今年は本っ当に辛い一年だったな。
 ニャアコやチー達にも辛い思いをさせちまって」

「・・・生きていればいろいろあるわよ。猫も人も」

「つらくても、つらくても死にはしないと・・・か、
 それはそうと今の猫屋敷、住み心地はどうだ?」

「おかげさまで悠々自適に過ごさせてもらってるわよ。
 ちょっと隙間風が寒いけど、皆さん親切にして下さる
 し、ご飯も美味しいし」

「そりゃ良かった。ニャアコもだいぶん、ふっくら
 してきたし、チーの脱腸も治まってるし。
 あとはこれからの冬の寒さをいかに乗り切るかだな」

「あ、思い出した!」

「何だよ」

「イロドリちゃん、あなた最近いろんなとこで
  ”ここだけの話、俺は本当は犬派なんだ” とか
 わけのわからないこと言ってるらしいじゃないの」

「言ってねえよ、誰がそんなデマを !?
 ・・・あ、きっと、”ましらのチョーさん”だな
 あの人、何でもベラベラ喋るのが玉に瑕なんだよなぁ」

「言ってんじゃないのよ」

「いやいや違うんだよ。来年(戌年)は俺の当たり年だし、
 死ぬまでに一度は犬と暮らしてみたかったっていう
 ビンボー人の憧れだよ」

「あらあら、猫で悪うございましたね」

「ガハハハ、怒るなよ。でもな、俺にとっては
 ニャアコが猫でも犬でも人でもニャアコには
 変わりないんだよ」

「ありがとう、イロドリちゃん・・・
 って、あなたこれウルトラセブンの最終回の
 アンヌ隊員のセリフ丸パクリじゃないの」

「ガハハハ、バレたか、恥ずかしいからこのあと
 イロドリ写真館の記事入れてカモフラージュ
 しとくぜ」
 

nice!(3)  コメント(0) 

とりあえず久々の「今日のお礼」はコレやで

2017-10-29_12.16.54.jpg

特に深い意味はないんですけどね。

毎日が忙しすぎて、週一になってしまってるブログすら
まともに書けない、というのもあるのですが、
イーライ、ニルスを失って、ラム、ビジンダー、レミー
と会えなくなってしまったショックと申し訳なさを
今も引きずっていて、ニャアコの孫をブログで紹介する
踏ん切りがなかなかつきません。
いつか何かの節目にでも登場する機会があれば、と
思っています。

nice!(13)  コメント(0) 

ニャアコ、童心にかえる [猫]

今年の5月からニャアコ達がお世話になってる猫屋敷、
一緒に寝食を共に出来ないという致命的な寂しさと、
車で片道20分かかるという不便さはあるのだが、雨風
が凌げ、家の持ち主であるウチの職場のおばちゃんが
仕事帰りに様子を見に寄ってくれたり、休みの日には
孫を連れて猫たちの相手をしてくれたりと、ホントに
至れり尽くせりで、感謝してもしきれない。

もともと長い間、誰も住んでいない、物置代わりの
空き家状態で、電気・ガス・水道のライフラインも
全て絶たれていているうえに昨年秋の地震により、
場所によっては屋根の瓦が落ちて雨漏りがしたり、
壁が崩れて中に入れなくなった部屋もあったりする
が、猫たちだけが暮らしてゆく分には充分すぎる広さ
である。

この、引っ越しによる新生活の中で、良い面での
変化が2つあった。

1つは、ニャアコの肉付きが良くなったこと
もう1つは、チーの脱腸癖が治まってること

特にチーの脱腸は完全に慢性化していて、たびたび
病院のお世話になっており、酷い時などは治療して
もらった後、様子見を兼ねて3日ほど入院して、
再発の恐れが無さそうだったので、安心して連れて
帰った5分後くらいに、尻から真っ赤な腸が
ぶら下がってるのを見た時はショックで倒れそうに
なった。
この先もずっとこんな感じで病院通いが続くのか
と不安だったが、引っ越してからこの5か月間、
一度も症状が出ていないので、願わくばこのまま
完治してほしい、と祈るような思いである。

2017-10-15_12.34.15.jpg

写真は、童心にかえってオモチャで遊ぶニャアコ

何故かこのオモチャが妙にお気に入りで、子や孫が
横から触ろうものなら乱闘にも発展しかねないほど
ご執心である。
さらにはチーや謎の美少女猫にちょっかい出して
追いかけまわしたりと、童心にかえるというより
幼児退行現象を起こしてるのでは!?と、ちょっと
心配になるくらいお茶目なハッスルばあちゃん化
している (時もある) のだ。

なにはともあれ、それぞれ元気そうで一安心である。
どうかこれからもずっと、元気で長生きしておくれよ。

2017-10-22_00.06.45.jpg

2017-10-15_12.34.41.jpg

孫もちょっと引きぎみというね(笑)

nice!(8)  コメント(0) 

まさか、次回予告だけ!?

さ~て、来週の「手の折れた招き猫」は?

チー
「フネです・・・じゃなかった、チーです。
 10月になって、暑いのか寒いのかよくわからない
 天気が続いてますね。
 2階の窓から眺めてても、ジャンパーを着てる人
 とTシャツの人が一緒に歩いてる、シュールな
 光景をよく見かけます。
 でも、ひと雨ごとに確実に寒くなってきてるので
 皆さんも風邪ひかないように気をつけて下さいね
 さて次回は ’’ニャアコ、童心にかえる’’ です」

ウフフフ…来週もまた、見て下さいねー♪ ンがクク [黒ハート]


謎の美少女猫
「だから、今はジャンケンなんだって、何度言ったら」


おまけ
2017-10-15_12.33.47.jpg
 
ゴゴゴゴ・・・
きさま、新手のスタンド使いかーーーーーー!!!

失礼ね、カゲマン&シャドーマンと呼んでちょうだい

nice!(13)  コメント(0) 

勿体無いから、ちょっと見ていっておくれヨ [イロドリ写真館]

なんか知らん間に9月が終わってしまっていて
10月に入ると
晴天→晴天→雨→晴天→晴天→雨→晴天
みたいな感じの日々が続いております。

雨と台風の印象しかなかった去年にくらべて
今年は爽やかな秋晴れの日が多い気がしますね。
雨が降っちゃうと、ただでさえ短い秋が更に
短くなってしまうので、天気のいい日は貴重な
「ちいさい秋」を満喫したいものです。

2017-10-07_16.33.04.jpg

普段、昼休憩は飯食ったらそのまま昼寝するんです
が、この日は睡魔も吹っ飛ぶ絶好の散歩日和。
秋特有の黄金色(きんいろ)の風に誘われてフラフラ♪
ちなみにココ↑6年前は天皇陛下が、そして昨年は
佳子さまがお立ち寄りになられましたヨ。

2017-10-07_16.33.28.jpg

昼間は穏やかだったんですが、夕方になると風が
メッチャ強くて、スマホを構える手が揺れてます。

2017-10-07_16.32.49.jpg

そして夜・・・

2017-10-07_16.32.29.jpg

僕が月夜に浮かぶ小船なら♪ と、吉川晃司も歌い
たくなるくらいの美しさ!

ホントに絵に描いたような「秋そのもの」の1日
でした。

2017-10-07_16.35.42.jpg

ニャアコ&チー
nice!(13)  コメント(0) 

絶対絶命!もはや風前の灯・・・ [はたらく おっさん]

この「はたらくおっさん」のカテの記事に度々登場する
ウチの職場のクレーム製造機こと、マサルくん (仮名)
が、だいぶん前にやらかした事件を元にした
「無脳男 vs 差し込み式便器」
という記事を、書こう書こうと思いつつも、なかなか
時間がなくて保留にしてる間に、職場自体の状況が
日に日に劇的に悪化してゆき、もう、シャレやネタ
では済まなくなってきてしまっている。

「続・SOS底辺より」の記事で書いた、会社が
強力な助っ人として送り込んできた70歳の婆さんは
結局、2カ月くらいしかもたなかった。
昨年の秋から冬にかけて主力が立て続けに3人も
辞めていった影響がジワジワと出始め、人手不足に
よる掃除のクオリティが落ち始めた矢先に、我が
底辺職場の唯一の常識人で、責任感も強かった
「おしゃれ番長」が鬱になってしまい、出勤がほぼ
絶望になった。

人数が減った分は、私が朝4時半とかに出勤し、
早めに出来るところは片付けておくなどして
騙し騙し何とか凌いでいたのだが、運悪く「投書魔」
のような厄介なクレーマー患者が長期間入院し
「フツーはそんなことどうでもええやろ!?」と
言いたくなるような些細なことを、ほぼ週1回の
ペースで病院の「ご意見箱」に投書しまくった為に
その都度、総務に呼び出され、状況の説明と改善の
約束を求められ、そのマジキチ投書の何枚かは
公開処刑の如く病院各階の掲示板に貼り出された。

さらにさらに追い打ちをかけるように、多分
苦情が出るだろうとわかっていながらも、人手不足
で他にいかせるメンバーがいないので、無脳男こと
クレーム製造機のマサルくんに、祈るような思いで
比較的掃除しやすい病室の掃除を任せたところ、即、
苦情の嵐で、看護師・看護助手・患者の各方面から
総スカンをくらい、階によっては出入り禁止に
せざるをえないようになってしまった。
普段は菩薩のように優しく穏やかな看護助手が
「もう!あの子(マサルくん)何なんですか!」と
鬼の形相で責任者である私に食って掛かってきた
姿は忘れられない。

さらにさらにさらに、ただでさえ人数不足で
イロドリ主任が早朝からフル稼働で3~4人分の
仕事をこなしながら何とか持ちこたえてるのに

「毎日これだけ掃除してるのに、床が汚いという
 投書がくるのは、床のワックスの効果がもう
 なくなってるからだろう」

と、病院の総務に言われ、病棟のワックスがけの
作業の日程を、半強制的に組まれてしまった。
もちろん、作業するのは私らである。
会社はハナから応援なんて寄越す気はない。
実は会社のほうも、どんどん退職者が続出し、
従来の現場がまわらないほどの人不足なのだ。

今年もあと3ヶ月。
果たして1年が終わる頃、一体どうなっているの
やら・・・

願わくば、違うところに再就職してますようにw

2017-10-01_16.02.15.jpg







nice!(8)  コメント(2) 

しばし中断 [イロドリ写真館]

いつも「手の折れた招き猫」を訪れて下さる皆様。
誠に、誠に、誠にありがとうございます。
現在、村山由佳さんの小説「風は西から」を紹介する
続・「死」の誘惑 の記事を中編まで書いておりますが、
底辺職場の壊滅的な人手不足の危機による、身体の
疲弊度が限界に達しており、文章を考える気力が全く
起きなくなってしまってます。
過労死をテーマにした小説を紹介してる最中に過労死
になりそう、というシャレにならん状態なのですが、
この「風は西から」という小説は、私にとって大切な
、思い入れのある物語なので、気力・体力がもう少し
回復した時に、きちんとした記事を書いて最後を
締めくくりたいと思います。

え?心配せんでもそんな記事、誰もまともに読んで
ないって!? そりゃ、ごもっとも・・・フハッ

そういうわけで、「死」の誘惑 (後編) を楽しみにして
下さってた方も、別にどうでもいい方も、今回は
秋のギャラリーぴんぼけ2017をお楽しみください。

2017-09-24_09.22.58.jpg

ニャアコ達がお世話になってる猫屋敷の集落

2017-09-24_09.22.26.jpg

秋の夕焼けって、ホントに綺麗なんですけど、
モタモタしてると、あっという間に表情が変わって
しまうんですよね~

2017-09-24_09.22.07.jpg

ま、これ ↑ はちょっと極端ですけど(笑)

この前、早朝から病院の掃除をしてると、急に
廊下の磨りガラスが真っ赤に染まったので、
すわ、何事!?と思って窓を開けてみると、まるで
オーロラ輝子のような妖しい朝焼けが!
こりゃ、仕事してる場合じゃねえぞ、と急いで
屋上に上がって写したのがコレ ↓

2017-09-24_09.20.58.jpg

・・・いや、いくらなんでもコレは大袈裟やろw
実際はコレ ↓

2017-09-24_09.21.38.jpg

別の場所から ↓

2017-09-24_09.15.34.jpg


まあ、そんなこんなで、心身ともに回復するまで
書きやすい記事を (どんな記事やねんw) 投稿して
ゆくことになるかも知れませんが、引き続きどうぞ
よろしくお願いいたします。

2017-09-24_09.18.32.jpg

2017-09-22_18.33.43.jpg




nice!(11)  コメント(2) 

続・「死」の誘惑 (中編) [続・「死」の誘惑]

ブラック企業によって過労死させられた青年の、
遺された恋人が彼の両親と共に裁判を起こす物語、
村山由佳さんの小説「風は西から」

モデルになっているのは和民の女性従業員の自殺と、
その後の遺族による裁判と勝訴であろうというのは
読んでるとピンとくるでしょうが、この作品では
亡くなるのは健介という青年であり、彼の恋人・
千秋が、いずれ「お義父さん、お義母さん」と呼ぶ
ことになっていたはずの健介の両親を支え、また
彼女自身も支えられながら裁判を闘ってゆきます。

何の予備知識もなく、たまたま読み始めた時、
店長を任されてる健介の店が、まるでコントの
ように次から次へとハプニングに襲われてる描写が
数日間に渡って繰り広げられていました。
この時は連載がもう中盤に差し掛かっていたのだが
、あらためて新聞のバックナンバーで最初から
読んでみると、最初の頃から既にブラック居酒屋の
店長として苦悩する健介と、上司や同僚に恵まれて
充実した毎日を過ごす千秋とのすれ違いが対照的に
描かれていて、お互い思いあっていながらも
見えない溝が日に日に広がっていっていました。

やがてこの、しっちゃかめっちゃかな騒動があった
数日後、健介は店の売り上げにマイナスの日がでた
ということで本社に呼び出され、ずらりと勢揃いした
幹部連中に、人格まで否定されるかのような徹底的な
吊し上げをくらう。しかもこの中にはあの日、ただで
さえ混沌とした状態の店にわざわざ客としてやって
来て、嫌がらせのように料理を注文をし、状況を更に
悪化させたバカ上司が居て、健介を擁護するどころか
店長としての采配が全くできてなかったなどとぬかす
のです。

そして極めつけに、途中からこの「吊し上げ会議」に
遅れてやって来た、あの和民の経営者クリソツの社長
に弁解の余地もなく無能の烙印を押されてしまい
ます。

どうやってその場から解放されたのかも覚えてない
くらいの放心状態で、帰りのタクシーの運ちゃんに
心配されるほどの死相を顔に張り付かせ、フラフラに
なりながらようやく帰りついた自分の店で待っていた
のは、休憩室のドアの向こうから聞こえる、店長で
ある自分をバカにし、陰口で盛り上がるバイト連中の
嬌声でした。
愕然としながらも、無理矢理に明るい表情と声で
ドアを開ける健介・・・
これはねえ、リアルタイムで読んでる時に思わず
涙が出ました。

この、わざとおどけて休憩室に戻ってゆく描写の
あと、翌日から千秋視点の物語となり、健介の
言葉や態度に一喜一憂し、心配する千秋の想いも
虚しく、健介は自ら命を絶ってしまいます。

最初に読んでた時は、この現実離れした千秋の献身
ぶりに、ここまで自分の事を愛してくれる恋人が
いるのに、自殺なんかするんやろうか?と思って
ましたが、その後、私自身がいろいろあって、
他人にはわからない、本当に死にたくなるような
事もある、という境地に触れました。

しかし彼の死後、実態を調べてゆく中で、なんと
あの「吊し上げ会議」を受けた翌週、またも店の
売り上げでマイナスを出してしまい、2週連続で
呼び出しをくらう事になっていたというのです。

健介の心はここで折れてしまったのでしょうか…

いや、健気にも彼はこの2度目の「公開処刑」に
臨めるように、翌朝、きちんと寝坊せず起きれる
ようにと、死の数時間前、コンビニで夕食の弁当と
目覚まし時計を購入していた事が判明します。
おそらく、連日の業務とそれ以外の雑務に対する
疲労と心労が限界を越え、本人も死のうという意識
もないまま階段の柵から落ちてしまったのでしょう。


健介は決して無能な責任者などではありませんで
した。カリスマ社長の経営理念に心酔し、その
ノウハウを実際に現場で勉強して、愛する千秋と
共に尊敬する両親の店を更に大きくしてゆき、
「食」を通じて人を幸せにしたい、そんな理想を
抱き、自分の下で働くバイトの子たちに対しても
心配りを忘れない好青年だったのです。

彼がまさに今、柵を越え飛び降りようとする時、
千秋は「ごめん」というLINEの一言だけの
メールに異変を察知し、仕事終わりに急いで
駆けつけるのですが、運悪く入れ違いになって
しまい、出会うことは出来ませんでした。
綺麗好きだった健介の部屋とは思えないほどの
ゴミ屋敷と化した空間に衝撃を受けながらも
彼が疲れ果てて帰ってくる前にと部屋を片付ける
千秋の心情と、コンビニで弁当を買っていながら
、まっすぐ自分の部屋に帰らずアパートの最上階
へと上がってしまった健介の放心状態を思うと、
そのやるせなさに涙が出てしまうのです。

(つづく)






nice!(12)  コメント(0)